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京都地方裁判所 昭和24年(ワ)147号 判決

原告

梅林信一

被告

京都市

主文

原告の請求はこれを棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

請求の趣旨

原告訴訟代理人は原被告間に雇傭関係の存続していることを確認する。訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求めた。

事実

原告は昭和七年二月一日被告京都市に雇傭せられ、爾来現業員として京都市交通局勤務現業員総数約三千七百人を以て京都市交通局労働組合(以下市交労と略称す)が結成せられるや、両組合の組合員となり昭和二十二年十月二十七日には右組合の執行委員長に選挙せられ、昭和二十三年八月十日に再選せられて、引続き右執行委員長の地位にあるものである。

京都市交通局勤務現業員の約三分の一に当る軌道係線工手及び車輛修理工等の就業時間はこれまで京都市電気局現業員服務規程(以下服務規程と略称す)によつて一日八時間内休憩一時間と定められていたのであるが被告は昭和二十四年一月十四日京都市長神戸正雄名義を以て「交通局職員の勤労時間は別に定めたものを除く外午前八時から午後四時四十五分までとし四十五分休憩時間を置く」旨の訓令を発し即日被告市交通局長友田正一は軌道保線工手及び車輛修理工等に対し訓令の趣旨による勤務時間の変更を通告して、該期日から、これを実施したところ昭和二十四年一月二十八日から同年二月一日に至る五日間に亘つて原告を含む前記従業員の一部が右就業時間中である午後四時に退庁したが被告はこの事態を目して市交労執行委員長である原告が原告名義を以て昭和二十四年一月二十七日附で発した旧勤務時間に復せとの指令に基くものであり原告の責任に出たものであるとし原告の右行為は昭和二十三年七月二十二日附内閣総理大臣宛連合国最高司令官書簡に基づく臨時措置に関する政令(以下政令第二百一号と略称す)第二条に違反し且つ服務規程第十四条に所謂不適合な所為あつた場合に該当するとして、原告に対し昭和二十四年二月三日到達した内容証明郵便を以て昭和二十四年二月二日附で解雇の意思表示をなして来た。

第一、併しながら原告は右解雇の原因である昭和二十四年一月二十七日附原告名義の組合指令が発せられたことについては何等関知しないものである。即ち右組合指令は昭和二十四年一月二十一日の市交労中央委員会及び同年同月二十七日の市交労執行委員会の決議に基づいて発せられたものであるが原告は当時病気療養中で右両度の会議のいずれにも出席しなかつたものである、その後に於て原告はその報告を受けその処置を事実上追認しているが右指令が発せられたことに関して原告には何等責任のあるべき筈はなく従つて一部従業員の前記午後四時退庁が右指令に基づいた行為であるとしても右指令を原告が発したことを前提とする被告の解雇の意思表示は無効である。尤も原告は昭和二十四年五月十日午前十時の本件口頭弁論期日に於て、右組合指令を原告の責任に於て原告が右中央委員会の決定に従つて発したことを認めたが右自白は真実に反し且つ原告代理人の錯誤に出たものであるから、これを取消す。

第二、仮りに右指令について原告に責任があるとしても

(イ)  被告は前記昭和二十四年一月十四日附の就業時間の変更に当つて、組合の再三の要求にも拘らず、右就業時間の変更に件い給与面に及ぼすべき影響並びに右就業時間の変更がまず昭和二十四年一月十六日から京都市交通局現業員の一部である軌道保線工手及び車輛修理工のみに実施せられるならば市電、市バスの乗務員等残部の現業員については、その就業時間差に相当する給与の控除が行われるものかどうかと言う点について何等明示するところがなかつた。併し右の如き労働条件は使用者たる被告に於て明示すべき義務あることは労働基準法第十五条に照し明らかであるから被告の前記就業時間の変更は無効である。

(ロ)  又被告の前記就業時間の変更は、それまでの就業時間を一日八時間内休憩一時間とする就業規則たる性質を有する服務規程を変更するものに外ならないから、右変更にあたつては、労働基準法第九十条第一項、第二項に則つてまず市交労の意見を聴き且つこれを労働基準局に届出なければならない。然るに被告は何等これ等の手続を履践しないものであるから、右変更はこれ又無効といわなければならない。

右の如く被告の前記就業時間変更自体が何等拘束力を有しないものである以上かような拘束力のない就業時間に従うことを阻止した原告の名義の前記組合指令並びにこれに従つた組合員の行動が政令第二百一号第二条に所謂争議行為に該当しないものであることは勿論服務規程第十四条に所謂不都合な所為にも該当しないことは言うまでもない。従つて右法令及び服務規程違反を理由とする被告に対する解雇の意思表示は無効である。

第三、仮りに原告の右行為が争議行為であるとしても、右行為は前述の如く被告の労働条件を明示しない而も一方的な違法な就業時間の変更によつて従業員達は不安動揺し、為にその勤労意欲も低下し、却つて業績は労働時間の延長に反比例するに至つたので、斯くの如き状態で荏苒日を送れば遠からずして市民の足たる市交通系統に大混乱を惹起する虞が多大にあつたので、これを防止する為に、已むことを得ずして為したものであるから、刑法第三十六条にいわゆる正当防衛に該当し違法性のない正当な行為なのである。而して政令第二百一号にいわゆる争議行為は不当な争議行為を禁止するものであるから、原告の正当な行為が右法令に該当するものであるとして為された被告の解雇の意思表示は無効である。

然るに被告は右解雇の意思表示は有効であるとして、原告の就業を拒むものであるから、原被告間に雇傭関係の存続することの確認を求める為本訴に及んだものであると述べた。(立証省略)

被告訴訟代理人は、主文同旨の判決を求め、答弁として原告が昭和七年二月一日以来被告に雇われ京都市交通局に勤務し、昭和二十年十二月五日市交労が結成せられるや、その組合員となり昭和二十二年十一月二十七日には右組合の執行委員長となり、昭和二十三年八月十日再選せられ引続き右地位にあるものであること、被告が原告主張の日その主張の如き従来の就業時間を変更する訓令を発しその主張の如く通告を行つてこれを実施したこと。原告主張の期間その主張の如く一部の従業員が午後四時退庁を行つたこと及び被告が昭和二十四年二月二日附で翌三日到達の書留内容証明郵便を以て原告主張の如き理由で原告を解雇する旨の意思表示をなしたことは認める。

第一、原告は右組合の代表者として、被告による就業時間の変更が労働条件の低下となる為に、これに反対し、組合員に対し午後四時に職場を離れるよう昭和二十四年一月二十一日の市交労中央委員会の決定に従つて原告の責任に於て指令したものである。この点に関する原告の前記自白の取消については異議がある。原告は右指令並びにこれに基づく一部従業員の午後四時退庁の行動について、その責任を免れる訳にはいかない。

第二、原告は被告の前記就業時間の変更が無効であり、無効な訓令に従うことを阻止した原告名義の指令及び右指令に従つた組合員の行動は争議行為でもなければ又服務規程に違反するものではないと主張し、而して右無効原因として

(イ)  第一、に労働条件の明示がなかつたことを掲げ、その法令の根拠を労働基準法第十五条に求めているが右法条は個々の労働者と労働契約を締結するに際し使用者のしなければならない義務を定めたものであるから、本件のように就業規則たる性質を有する服務規程の変更については適用のないものである。而も被告は右就業時間の変更に伴い給与面に及ぼすべき影響についても昭和二十四年一月十二日市交労代表者を含む京都市役所職員労働組合連合会(以下市職労連と略称す)執行委員との打合せ並びに同年同月十四日市交労執行委員との打合せに於て労働時間は、これを延長するも現在のところいわゆる六、三〇七円ベースによる給与以外に歩増その他の給与の裏打ちは出来ないこと、現業員の一部については遅れて実施するが、その間の就業時間差については給与面に於て控除しない旨説明して、原告の求める労働条件の明示をなしたものであるから、この点に関する原告の主張は理由がない。

(ロ)  次に原告は就業規則たる右就業時間の変更について、予め労働基準法第九十条に基づいて市交労に意見を求めることもせず、又これが変更について労働基準局にも届出てないことを掲げるが、被告は昭和二十四年一月十日市職労連執行委員を招き、同年一月十六日から就業時間を変更したい旨申入れてその意見を求め、同年一月十二日及び同年同月十四日には前記のように労働条件を明示して、その意見を求めたものであるから、この点については何等の手続上の瑕疵はない。

而して被告が右就業時間の変更について労働基準法第九十条による届出をなしていないことは、これを認めるが、右届出は就業規則の変更が有効であるが為の要件ではない。而しその基本たる就業規則自体について昭和二十三年二月二十五日内事局官房職制課長の指示によつて、その届出延期方を労働基準局に願出てあるものであるから、その変更についても届出義務は延期せられているものである。従つて単に届出がないとの一事でこれを無効と断ずるを得ないものである。

原告は市交労執行委員長として前記就業時間の変更が労働条件の低下となる点を不満とし、有効な右就業時間の変更を殊更に無効であると強弁して、その実施に反対し、労働時間を延長するとするならば、その延長部分に対する給与の裏付け及び労仂強化に伴う人員整理をなさないことの保障を要求し昭和二十四年一月二十二日市交通局長友田正一に対しその旨申入れをなし同月二十五日を期して回答を求めている。而してその要求貫徹の手段として前記組合指令を発し組合員をして午後四時に職場を離脱せしめるの挙に出たものであるから、右行為が争議行為であることは明らかである。然らば右行為は政令第二百一号第二条に違反するものであつて又かような法規に違反する行為が服務規程第十四条の不都合な所為に該当することも明らかであるから、これを理由とした被告の原告に対する解雇の意思表示は有効である。

第三、右述の如く被告のなした就業時間の変更は何等の瑕疵もない有効なものであるのみならず昭和二十四年一月十六日以降原告名義の前記指令の出た昭和二十四年一月二十七日までは、何等の疑義もなく、実施を見て来たものであるから、組合員間には原告の主張するやうな不安動揺はなかつたものである。従つて原告の組合指令が組合員の不安動揺を防止するが為に已むことを得ざるに出た争議行為である旨の原告の主張は不当である。

第四、仮りに右争議が正当なものであるとしても、政令第二百一号は国家又は地方公共団体に被傭されている者が争議手段をとること自体を、即ち右争議手段が正当であろうと違法であろうと、争議手段に訴えること自体を禁止しているものであるから、原告が争議手段をとつたことを理由とする被告の解雇の意思表示は有効であると述べた。(立証省略)

理由

原告が昭和七年二月一日以来被告京都市に雇われ、京都市交通局に勤務し、昭和二十年十二月五日市交労が結成せられるや、その組合員となり、昭和二十二年十一月二十七日には右組合の執行委員長となり昭和二十三年八月十日再選せられて引続き右地位にあるものであること被告が昭和二十四年一月十四日京都市長神戸正雄名義を以て原告主張の如き訓令を発しこれまで服務規程で定められていた京都市交通局勤務現業員の約三分の一に当る軌道保線工手及び車輛修理工等の一日八時間内休憩時間一時間という勤務時間を変更し即日被告市交通局長友田正一が右現業員等に対し前記訓令の趣旨による勤務時間の変更を通告し同年一月十六日からこれを実施したこと同年一月二十八日から同年二月一日に至る五日間に亘つて前記従業員の一部が右就業時間中である午後四時に退庁を行つたこと及び被告が昭和二十四年二月二日附の翌三日到達した内容証明郵便を以て原告主張の如き理由で原告に対し解雇の意思表示をなしたことは当事者間に争いがなく。

第一、而して昭和二十四年一月二十七日附組合指令が右組合の代表者である原告の責任に於て原告が昭和二十四年一月二十一日の市交労中央委員会の決定に従つて発したことも亦当事者間に争いがない。(原告訴訟代理人は昭和二十四年五月十日午前十時の本件口頭弁論期日に於て右先行的自白をなし被告がこれと符合する陳述をした後に同年九月二十七日午後二時の本件最終の口頭弁論期日に於て右先行的自白を取消したが、証人中内広の証言によつても、原告が右指令の決議せられた昭和二十四年一月二十一日の市交労中央執行委員会及び同年一月二十七日の市交労執行委員会に出席していなかつたことを認め得るに止り、右指令が原告の意に反して発せられたものであることはこれを認めることが出来ないし、他に右事実を認めるに足る何等の証拠もないのみならず前記最終の口頭弁論期日に於ける原告本人訊問に際し原告は右先行的自白に副う供述をしているから右自白の取消は許されない。)従つて右指令について原告が責任のないことを前提とする原告の主張は採用するを得ない。

第二、原告は被告の就業時間の変更には労働条件の明示がなく、且つ変更に先立つて組合の意見も聴かず、その届出もされていないから無効であると主張し、従つて右無効な就業時間の変更に従うことを阻止した昭和二十四年一月二十七日附原告名義の指令及びこれに従つた組合員の行動は争議行為でないと主張するのでこれらの点について考えてみる。

(イ)  まず原告は労働基準法第十五条を根拠として就業時間を変更するに際しては、これに伴う給与面の影響について明示するを要すると主張するものであるが、同条は使用者が個々の労働者との間に労働契約を締結するに当つてしなければらなない義務を定めたものであつて、本件の如く就業規則たる性質を有する服務規程を変更するが如き場合には適用のないものであることは同条の文言と内容位置と体裁並びにその立法精神に照し疑問の余地のないところである、これと反対の見解に立つ原告の主張には従うことが出来ない、尤も労働時間の変更はこれと直接連関を有する賃金に影響を及ぼすものであるから労働時間に関する就業規則を変更するに当つては労働条件について労働者に疑念が起らないように使用者は、これに伴う賃金の影響をもあわせ説明する誠意と親切を持つべきものであろう。

(ロ)  原告はこれ等就業規則の変更にあたつて、被告は組合の意見を求めて来なかつたから被告のした就業時間の変更は効力がないと主張する。労働者の意見を聴くという手続が就業規則の作成変更についての効力要件であるかどうかは一つの問題であろう。凡そ就業規則は使用者が作成する当該事業場の就業に関する規則であり使用者の事業組織を統制する地位から派生する権限に基ずき、使用者が一方的に作成し変更し得るものである、その作成変更された規則は現に効力のある労働協約並びに労働基準法その他の法令に牴触しない限り有効性を否定されない労働基準法第九十条は使用者は就業規則の作成変更について組合の意見を聴くことを命じてはいるが、勿論組合の意見に拘束せられることを予想するのではない唯就業規則の内容如何は労働者の利害に関係するところが大きいし事業設備は労働力と結びついてこそ始めて組織体としての社会的機能を発揮し得るものであるが故に就業規則の作成変更にあたつては労働者の正しい意向が規則に反映し採入れられ労働者の積極的な支持のもとになされることが望ましいので、労働者の意見を聴くという手続を取らせることにしその違反には制裁を以て臨み間接にこの手続を強制しているのである。以上の観点からして労働者の意見を聴くことは就業規則の作成変更が有効であるがための要件ではないと解するわけであるが成立に争いのない乙第二十三号証と真正に成立したものと認められる乙第一号証に証人小倉成、山本忍、中内広の各証言並びに原告本人訊問の結果を綜合すると、人事主管者会議に上京中の被告京都市職員局長松島吉之助から昭和二十四年一月九日に地方公務員についても一日実働八時間制を実施せねばならない情勢にある旨の電話があつたので、同年四月十日職員局労政課長島助四良は市交労代表者を含む市職労連執行委員等にこの旨を告げ、同年同月十六日から実施したい旨申入れ、同年同月十二日には前記松島職員局長から重ねて同趣旨の申入れを為し、該委員達の労働時間の延長に伴う給与面の影響に関する質問に対し、給与の裏付けは一切しない。政府の方針が未定であるから、これが決定するまでは従前の基本給額を以て今後の基本給額とせざるを得ない旨回答し、同年一月十四日には市交通局労務課長小倉成から市交労執行委員等に対し市電、市バス乗務員に限つてダイヤ編成の都合上これが出来る迄実施を延ばす旨申入れその他前同様の説明を行い給与の裏付けのない単なる労働時間延長実施は反対であるという組合側の意見を得たものであることを認めることが出来るから本件就業時間の変更にはその手続上何等間然する処はない。

原告は右就業時間の変更について労働基準局に届出てないことを無効原因の一として主張するが、その然らざることは就業規則の性質に照し明らかであるから採用するを得ない。

右述の述く被告のなした就業時間の変更が既に有効である以上、市交労執行委員長である原告が原告名義によつて、組合員に対し午後四時限り職場を離脱することを命じた昭和二十四年一月二十七月附指令に基ずいて組合員が午後四時退庁を実行した行為が組合の統一的組織力を以て使用者に対抗したと云う意味に於て争議行為であることは云うまでもない。労働組合の集団的行為によつて達成せんとする目的が積極的に或種の労働条件を獲得するにあろうと又反対に消極的に或種の労働条件の否定にあろうと、その事が争議行為の性質に変更をもたらすものではない。

第三、原告は更に政令第二百一号に所謂争議行為とは不当な争議行為を指称するものであるが、前記組合のなした争議行為は被告のなした違法な就業時間の変更による急迫せる危難を避ける為の必要に出た正当な争議行為であるからこれに該当しないと主張するが、被告のなした就業時間の変更が有効であることは前段説述の通りであるから、その実施を以て組合員の権利に対する不正な侵害とは称し得ない。勿論就業時間の変更が有効であることによつて直ちにこれに対抗する争議行為が不当であるとは限らないが国又は地方公共団体に雇傭されている者は政令第二百一号第二条第一項によつて争議行為をなすこと自体を禁止せられているものであるから、右禁止に違反した争議は違法不当であると言わなければならない。

而して違法な争議行為を指揮命令した組合の指導者の行為が不当であることは、これ又当然の事理ではあるが争議行為が事実行為である以上組合指導者が直ちに争議行為自体の代表者であると言うことは出来ない。又組合代表者の不当な指揮命令によつて違法な争議行為が行われた場合の責任は一応組合自体にあるものである。

従つて原告が組合の指導者として違法な争議行為の責任者であるとする被告の解雇理由は、その措辞妥当を欠く厭がないではないが、政令第二百一号第二条第一項によれば「公務員は何人といえども………争議手段をとつてはならない」と規定し、同条第二項に於て右規定に違反する行為をした者は、雇傭上の権利の剥奪せらるることあること、更に第三条に於ては、これに対する制裁を規定している趣旨に鑑みるときは原告は組合の指導者であるが為に政令第二百一号第二条第一項に違反するものではないけれども公務員として右条項に違反するものに外ならず、かような違反行為が服務規程第十四条に所謂不都合な所為に該当するものであることも又明らかであるから、これを理由とする被告の原告に対する昭和二十四年二月二日附解雇の意思表示は適法である而して右意思表示が同年同月三日原告方に到達した事実は原告の自認するところであるから同日の経過を以て、原被告間の雇傭関係は消滅したものと言うべく、これに反する原告の主張は理由がないので棄却を免れない。

仍つて訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用して主文の通り判決する。

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